第3回ノミネート 2012
No.1 安部節美
”『自宅に退院できる』と思うことから始まる”
現在の職業:
日本医科大学医学部付属病院患者支援センター退院支援看護師 東京退院支援看護師の会の発起人
推薦文:
大病院での退院支援は、どこの病院においても苦慮しているところかと思います。安部さんは大学病院の患者支援センターにおいて、その方の思いを大切にして、一人でも多くの患者さんがご自宅へ帰れるようにと、退院支援に日々奮闘しています。
病棟で患者さんに直接かかわる医療者たちこそが、「自宅に退院できる」と思わなければ患者さんの「自宅に帰りたい」という思いはかないません。そこで安部さんは、院内教育コースの中で、全病棟の看護課長さんへ在宅療養支援診療所での在宅医療研修を受けてもらうことを企画しました。
在宅療養されている患者さんのご自宅で過ごす様子に接した看護課長さんたちは「なぜいままで自宅退院は難しいと決めてつけていたのだろうか」と思ったそうです。このような感想を全病棟の看護課長さんが感じ、その結果、退院支援への相談件数が増えたそうです。退院カンフアレンスでも、常に患者さんやご家族に「●●さんはどのようにしたいの?」と意向を語ってもらい、その人らしさを大切にしています。
退院支援は、退院支援看護師1人の力だけではなく、複数の人たちとともに勧めていくことが大切です。担当医師やときには診療科の部長、病棟の看護師さんや看護課長さんとの連携や協働が必要です。また地域へつなぐには、ケアマネジャーさん、訪問看護師さん、訪問診療医などと連携をとることが必要です。安部さんは、このように複数の方たちと良好な関係をもちながら、かつ調整はかるためのマネジメントを適切にてきぱきと進めて行きます。
安部さんは、患者さんに沿う暖かさと、目的達成のための行動力、多くの人を巻き込むことのできる調整力を兼ね備えた看護師さんです。